第1回生体恒常性とストレスセミナーを開催しました

 

上記セミナーは、理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター・免疫発生研究チームのチームリーダーである河本宏博士を迎えて、平成22年1月14日に行われた。

「T細胞系列への決定」と題した講演の前半部分では、T細胞とB細胞は分化系列の上で近縁なのか?という問題に対して、リンパ系前駆細胞からB細胞と骨髄系細胞が分化し、その骨髄系細胞からT細胞が分化する、という骨髄系細胞を中心とした新たな分化系列を示す画期的な実験結果が示された。後半部分では、ある条件でT前駆細胞に分化の停止が誘導された時に、前駆細胞が自己複製サイクルに入るという現象を通して、T細胞分化のチェックポイントを制御する分子を同定するに至った最新の知見が示され、血液分化系列決定の意義について考察が加えられた。

講演後には、血液細胞分化において複数の段階で生みだされる骨髄系細胞の相違や、分化を規定する外部環境、さらに系列決定の分子基盤について、活発なディスカションが行われた。特に、環境要因が血液細胞分化の恒常性を規定する重大な要因であることを強く示していることに改めて感銘を受けた。

(セミナー担当者)